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ありがたい夢【1】|みんなのブログ
ありがたい夢【1】
13/10/08 21:38
あたしのひいおばあちゃんは、あたしが物心ついた時には既に、とてもとても信心深い人だったんですけど。
初めからそうだった訳ではなくて、不思議な出来事を経験してからということでした。
お嬢さまで育って、同じような家に嫁いだひいおばあちゃん。
ずっと、なに不自由無い暮らしをしてたある日、家業が傾き、自らも働かなくてはいけなくなりました。
けれど、もともと身体が弱かった彼女は他の人より疲れ易くて、それを歯がゆく思っていたようです。
それは、とても暑い日のことでした。
その日も顔色が悪くて帰宅するように言われ、家で休んでいたら。ひとりのお坊さまが、お立ち寄りになられたのだそうです。
一碗の水を所望なさったので、暑かろうと、たらいの水と手拭いをすすめ、井戸で冷やした麦茶をお出ししたところ、たいそうお喜びになったのだそうです。
そして、
「顔色が悪いが、どこか悪いのか?」
と訊かれたので、生まれつき身体が弱い事と、皆と同じに働けぬ不甲斐なさをうちあけたら、
「それなら、これからは心配しなくてもいい」
と、1粒の丸薬をのませて、
「これで、お前さまのお腹には、観音さまがお入りになられたから、皆に感謝の日々を送れば、元気に長生きが出来る」
と、にっこり笑って言われたそうです。
(元気な身体になれるとは、なんとうれしいこと!)
と、感激していたら、近所の人に声をかけられ。気がついたら、お坊さまの姿は無かったそうです。
最初はみんなに
「夢でも見たんだろう」
と言われていたのですが。それからのひいおばあちゃんは、めきめき元気になって、人一倍の働きが出来るようになったので、周りの人達も、
「あれは、きっと、弘法大師さまがいらしたのに違いない」
と、言うようになりました。
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