あのあと、歩いていたら、パラパラと、１０滴以上の水が落ちてきて、

(げっ！晴れてるまんまで、いきなり土砂降り？)

と、立ち止まり、用意の傘を出してたら…何か様子がおかしいんですよね。周りはぜんぜん濡れてないのに、あたしのいるとこだけ、断続して降ってくるんです。

不思議に思って見上げると、上に、住宅が建っていて。小さな女の子が、バルコニーで水遊び中だったのでした。

「ママー、おひさま捕まえたよ！見て見て！おひさまの水！」

とはしゃぐ声に、様子を見に来たらしい、ママさんらしい人と目が合って。

瞬時に済まなそうな表情に変わり、お辞儀をされたので、慌てて、

「おひさまのしずくをありがとう！暑かったけど、涼しくなったよ〜」

と、女の子に向かって手を振りました。

傘を閉じ、ママさんと女の子に手を振りながら、再び帰路へ。

あのママさんは、見掛けたことがあります。賢くてマナーも良い人なので、

「水は外には散らさないでね」

って、後で説明してくれたでしょう。

あたしにかかったおひさまのしずくは、すぐに乾いてしまったけれど。嬉しげな笑顔は、夜になっても、あたしの中で咲いています。