子供の頭くらいのサイズの白いかぼちゃを貰ったので、早速、煮て食べることにしました。

出刃包丁の刃も立たないほど、堅く。かといって、丸茹でするには、鍋へのおさまりが悪いのです。仕方が無いので、２つに割って茹でようと思い、鉈(なた)を出しました。
お部屋の床の上では難しいので、道路に繰り出して割るしかありません。

アスファルトの上に新聞紙を敷き、かぼちゃを置いて。通行人が無いのを確認して、

「えいやぁーーーっっ！！！」

と、渾身の気合いを込めて、鉈をかぼちゃに振り下ろします。うまいこと刺さったので、何度か下に打ち付けてゆき、いい感じに２つに割れました。

(やったー！これでお鍋に入ってくれる♪)

ところが、いましがた通りかかったらしい知らないおばさまが、携帯電話を握り締め、ただならぬ顔色で凝視なさってるではないですか。

慌てて鉈を鞘にしまい、

「お騒がせして済みません。これは、鉈かぼちゃといって、包丁では切れない堅いかぼちゃなもので…」

と、説明に入るも、おばさまは、後すざり。

そこに、御近所のおじいちゃまが様子を見に来てくれて。

「おおーっ！旨そうな鉞(まさかり)かぼちゃじゃないか。その細腕で割るのは大変だっただろうに」

と、助け舟を出してくれました。

「鉈かぼちゃ？鉞かぼちゃ？それって何なんです？」

途端に、身を乗り出して来たおばさま。

そこで、あたしとおじいちゃまで、鉈や鉞で叩き割らないと割れないほど堅いかぼちゃであることや…陽当たりの良い屋根で保存したら、冬至まで保存出来ること…ナマだとこんなに堅いのに、加熱したらホクホクで栗みたいに甘くなるから、栗かぼちゃとも呼ばれている…等をおはなししてたら、なぜだか、意気投合。

「わたしもぜひ食べてみたいわ！」

と、盛り上がるおばさまの分を、今度はおじいちゃまが斬り分けてくれました。

おそらく、遠目で目撃したおばさまには、かぼちゃが生首か何かにでも見えたのでしょう。
鉈を振り上げて生首を叩き割っている気のふれた女…って思い込んだら、そりゃあ、パニックにもなりますよね(^^;

映画やアニメにも、鉈をエモノにして暴れるキャラがたくさん出て来ちゃったので。鉈を道具としては考えないで、武器と思ってる人がほとんどなのかも。

でも、丸くおさまって事無きをえて。かぼちゃも美味しかったので、めでたしめでたし♪なのです。